筆者はがむしゃらやバトンタッチなどの技を活かし、複数のポケモン同士のシナジーで戦う『ギミック』というカテゴリに分類される戦術が大好きである。
相手を意表の外から往なすことかでき、コンボパーツに特異な条件が求められるのでマイナーなポケモンが組み込まれることが多い点も趣がある。
実際、七世代で使用した構築の殆どはギミックだった。(もし興味あったら過去記事読んでみてね)
しかし剣盾では満足なアイデアが思いつかない。もしかしたら他のギミック好きの方々もそうではないだろうか…?
その原因を究明してみた。
ダイマックスが手強い
耐久2倍、威力上昇、技必中、能力を上昇する追加効果、フィールドによる耐性付与
シンプルにメガ進化以上のパワーアップ。ラムの実を持ったまま必中の高火力が能力を上げながら飛んでくるという脅威。
例えば分身バトンにとっては3ターン必中技が飛んでくるのは混乱実の回復量が減ったのも合わせてかなり向かい風である。
さらに…
仕様でダイマックスポケモンに効かないものが多い
- みちづれ
- 吠える・吹き飛ばし・ドラゴンテール等
- アンコール・かなしばり・拘りトリック
- レッドカード
- 痛み分け・がむしゃら・いのちがけ(元のHP参照なので全然減らない)
これが非常に辛い。
『柔よく剛を制す』
というのがギミック構築の真髄だと筆者は思っているのだが、なんと今回の剛は柔への耐性を持ってしまっている。せっかくダイマックスは攻撃技と守るしかできない制し甲斐のある剛なのに…。
メガ進化は一般ポケモンでも相性次第では十分渡り合えたし、上記のような抜け道で処理することが出来た。
しかし今作では
ダイマックス>一般ポケ
というのが明確になってしまっている。性能面でも仕様面でも。
ダイマックスに通じないな…と諦めざるを得ない戦術がとても多い
ダイマックスと相性が悪い
逆にこちらが使う場合はどうだろうか?
まずダイマックスを活かしたギミックを考えてみる。
ダイマックスすると攻撃技はタイプごとでダイ○○○という技に統一され、補助技はタイプ関係なくダイウォールになる。
元の技の性質を活かせないので、せいぜいダイ○○○の追加効果で能力を上げてバトンするか能力を下げて起点を作るか天候を変えて何かするか程度しかコンボになる動きが無い(筆者の想像力の限りでは)。味気ない。
技を統一するのはZも同じだが、あちらは1ターン限りだったのでギミックと共存できた。
天敵を倒す為の役割破壊として採用できたし、補助技をZにした場合も効果はそのままでバリエーション豊富な追加効果が発生したので、それを軸としても隠し味としても使え、とても考察しがいがあった。
例).水Zペンドラー 、分身バトンでの腹太鼓Zジャラランガ
しかしダイマックスは発動すると3ターン平坦な攻撃技か守るしかない状態になり、攻撃面に優れず補助技を主体に戦う既存のギミックポケモンはほぼ置物になってしまう、共存は難しい。
ダイマックス時に身代わりが消えてしまう仕様も噛み合わない。
こうなると追い風や壁下、バトン先でダイマックスを動かすというシンプルな使い方に限られてくる。
このようにダイマックスを戦術に組み込みにくく、組み込んだとしても多様性や面白みに欠ける。
またダイマックスはバトル中どのポケモンに切ってもいいので、構築の柔軟性を上げる為に単体性能が高いポケモンでPTを組むのが現在の主流である。
この点でもPT内でダイマックス出来るポケモンが限られるギミックパは時代と逆行している。
ダイマックス以外でも
ここまでダイマックスについての話だったが、それ以外にも逆風要素はある。
まず、環境トップのドラパルト。特性がギミックの基柱となる身代わりや壁を貫通してくるすり抜けである。途轍もなく辛い。今までもエルフーンやシャンデラなどすり抜けのポケモンはいたが、採用率は中堅程度に落ち着いていたし、他の特性の方が採用されていたのであまり脅威では無かった。
その点ドラパルトは使用率が高く、更に別の特性も全く安心できない。もう1つの特性クリアボディは能力ダウンを無効化する為、岩石封じや置き土産での起点作りが通用しないのだ。
壁も置き土産も無理だったら起点を作りようがないだろ!良い加減にしろ!
そして前世代から続投で強力なミミッキュ。このポケモンはバトンエースとなるマジックミラーやマジックガード持ちにタイプ上有利であり、シャドクロ急所や新要素ダイホロウでの強引な突破もできる。
現在はアタッカー型が殆どだが、化けの皮と相性の良い呪い持ちが再び出てくるのも時間の問題である。そうなると一層苦しくなる。
メジャーな受け駒であるサニーゴやドヒドイデ、ミロカロスが黒い霧を所持している為、バトンをたったの一手で止められやすいのも困りどころ。
またそれ以外でも、ラムのみやダイフェアリーなどのこちらから見えない対策が増えてしまったのは、選出画面でのプランを立てにくい為苦しい。
あとがき
ギミックのいない世界はきっと良環境なのだと思う。
歴史を振り返ってみると、猫の手戦術もクレッフィメタモンもイーブイバトンも。ギミックはいつも嫌われてきた。そして次の世代になるとまるでバグだったかのように弱体化されることを繰り返した。
遂に剣盾では初見殺しのない、確率に左右されない、純粋な読み合いの世界に限りなく近づいたのだ。
プレイヤーにもe-Sports化を睨んでいる公式にも望まれた、清く正しい世界…。
現に誰もが、剣盾の対戦環境は楽しいと呟く。
っていうぐらいの意気込みでシングルギミック勢の皆さん、逆境ですが頑張りましょう。私は1つだけ良い感じのものを思いつきました。
あと今世代からギミックの宝庫ダブルバトルにも参戦します。1から勉強中。
おわり